ボブ・ディラン

僕はボブ・ディランが好きだ。初めて買った洋楽のレコードはディランのグレイテストヒッツだったし、初めて見たコンサートは1978年の初来日武道館公演だった。誰も一緒に行ってくれる人がいないので、13歳の僕はひとりで九段下に行った。席は2階のほとんど端っこの方で、小指くらいの大きさで現れたディランは想像していたのとは全く違うゴージャスな感じだった。そして演奏も想像していたのとは全く違っていた。もの凄くアレンジを変えて演奏されるおそらくは知っているはずの曲を、絶対凄いはずだ、とてつもなくいいものなのだ、と自分に言い聞かせながら座席の上に正座をするくらいの気持ちで聞いては見たものの、子供の僕には今ひとつ何がなんだかさっぱりわからなかった。でも、しかし、僕はディランを見た。声を聞いた。その衝撃は大きかった。その後、映画レナルド&クララも一人で見て、ラスト・ワルツも一人で見た。こう書くとちょっとさみしい感じだけれど、むしろ一人で見たかった。一人で集中して見なければいけない、とても大事なものだったのだ。とはいえ、月日は流れて、明後日の方からパンクがやってきて、僕はどんどんそっちへ行って、ニューウェイヴだ日本のロックだとごちゃごちゃになって、僕も年を取り、昔のように正座して音楽を聞くようなことはしなくなってしまった。まあ、でも、大昔のポップスをユーチューブで聞いたり、レディオヘッドを聞いたり、あっちやらこっちやら、音楽はずっと聞き続けていて、最近僕の中でまたディランが「よっこらしょっ」と頭を持ち上げてきている。なんだろう?原点回帰か?あの声、歌い方、訳のわからない歌詞(もともと難解らしいけど、英語が出来ない僕にとっては尚の事、片桐ユズルさんの訳を読んでみてもやはりよくわからない)にどっぷりと浸かると本当に居心地がいい。 アルバムはストリートリーガルまでしかちゃんと聞いていないけれど、それ以降のものも少しずつ聞いてみよう。ああ、ジョーカーマンが聞きたい。

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